副腎皮質の機能は、多数のステロイドホルモンを合成することです。グルココルチコイド(コルチゾールなど)、ミネラルコルチコイド(アルドステロンなど)、性ホルモン(アンドロゲンなど)に分けらます。ホルモン分泌の量とタイミングは、主に副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)によって調節されています。ACTHは副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン (CRH)によって調節されています。
また、血圧や体液量、電解質を調節するアルドステロンの合成は、血液中のナトリウムとカリウムの量とレニン-アンジオテンシン-アルドステロン系(RAAS)によって制御されています。
副腎皮質におけるホルモン産生が何らかの理由で障害をきたすと、ホルモンの過剰産生や不足が生じることがあります。その結果、臓器の機能低下や機能亢進が起こり、疾患を招くことがあります。
副腎皮質の機能亢進は、原発性アルドステロン症(Conn症候群)、クッシング症候群、副腎性器症候群と関連しています。
慢性的なコルチゾールの過剰分泌は、クッシング症候群を引き起こします。下垂体腫瘍によるACTHの過剰分泌や、副腎の腫瘍によるコルチゾールの過剰分泌によって引き起こされることがあります。また、クッシング症候群は、コルチゾール様成分の投薬によって引き起こされることもあります。クッシング症候群の検査には、血液、唾液、尿のコルチゾール測定とデキサメタゾン抑制試験などが行われます。
アルドステロンが過剰に分泌されると高アルドステロン症になります。最も一般的な症状は高血圧です。高血圧症全体の10%までは、原発性高アルドステロン症(Conn症候群)が原因です。Conn症候群では、レニン濃度も同時に低下しますが、二次性高アルドステロン症は、RAASの過剰刺激によるものです。高アルドステロン症が疑われる場合には、アルドステロン-レニン濃度を測定することが推奨されます。
副腎性器症候群は、主に副腎皮質のステロイドホルモン合成酵素の先天的欠乏による男性ホルモン分泌過剰によって生ずる症候群です。この酵素が先天的に欠けるとステロイドホルモン前駆体が増えても機能性ホルモンが産生されないため、ACTHの過剰な刺激によりアンドロゲンの分泌が増えます。
副腎皮質の機能低下は副腎皮質機能不全を引き起こします。原発性副腎皮質機能不全の最も頻度の高い原因はアジソン病です。自己免疫によって副腎皮質のホルモン産生細胞が破壊され、副腎ホルモンが不足する疾患で、コルチゾールとACTHの測定などにより鑑別されます。
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