慢性腎臓病(CKD)はしばしば血管石灰化を伴い、その結果、CKD患者の心血管疾患リスクを著しく上昇させます。
マトリックスγ-カルボキシグルタミン酸(Gla)タンパク質、略してマトリックスグラタンパク質(MGP)は、血管や組織の石灰化を抑制することが知られています。これは平滑筋細胞、内皮細胞、軟骨細胞で合成される蛋白質で、サイズが小さいため血管壁に入り込むことができます。
活性化されたMGPは血管や組織の石灰化を抑制することが、γ-カルボキシル化によるMGPの活性化にはビタミンK2が必要です。
ビタミンK2の供給が不足すると、脱リン酸化-脱カルボキシル化MGP(dp-ucMGP)とも呼ばれる不活性型MGPが増加します。dp-ucMGPは血管石灰化を防ぐことができません。dp-ucMPGレベルの上昇は、心血管疾患のリスクマーカーと考えられています。
血液中のdp-ucMGP濃度が高いのはビタミンK2の供給不足が原因である可能性があるため、dp-ucMGPはビタミンK2の充足状態に関するマーカーとも考えられます。
dp-ucMGP濃度は、血管の生理学的状態に関する評価の一助となり、心血管系の悪影響や死亡率のバイオマーカーとなる可能性があります。dp-ucMGP濃度の定期的なモニタリングは、血管合併症のリスクを評価するために有益となる可能性があります。
また、dp-ucMGPの測定は、dp-ucMGP濃度が体内でのビタミンKの利用可能性と相関するため、ビタミンKの状態に関する重要な情報となりえます。ビタミンKの直接測定で得られる値はその時点でのスナップショットですが、dp-ucMGP濃度は組織中のビタミンKが充足しているかどうかの指標と考えられます。
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